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【キンコン西野】「えんとつ町のプペル」が無料公開された天才的な理由とは【マーケティング】

えんとつ町のプペルのマーケティング戦略を解説します

こんにちは、KOKIです。

ご存知の方も多いと思いますが、2017年1月にキンングコング西野亮廣さんが自身のベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」をネットで無料公開しました。

大ヒット中の絵本「えんとつ町のプペル」を無料公開します(キンコン西野)

 

西野亮廣さんといえば今やお笑い芸人ではなく絵本作家としての活動の方が有名で、マーケティングの能力や独創的なアイデアなどを評価され今では「天才」とまで呼ばれる存在です。

絵本だけでなくビジネス書も次々に出版しており、その全てがベストセラーになるなど天才と呼ばれるにふさわしいような活躍ぶりです。

 

さて、今回の記事ではそんなキンコン西野さん・・・ではなく「西野亮廣さん」がなぜ発売から3ヶ月も経たずして「えんとつ町のプペル」の無料公開に踏み切ったのか?その理由と、後半には天才だからこそ持てる「お金に対する価値観」について解説&深堀りしていきます。

▼目次

なぜ「えんとつ町のプペル」は無料公開されたのか

理由を以下にまとめました。

  • お金がなくて絵本を買えない子供たちにも読んで欲しいという気持ちがあった
  • ママさんたちに書店で絵本を吟味する暇はないと思った
  • 読者と作者の間にあるお金という壁を取っ払いたかった
  • 絵本の対価としてお金ではなく感謝の気持ちや言葉でも十分だと考えた
  • 絵本という財産を独り占めするのではなくシェアしたかった
  • 皆んなが豊かになった方が巡り巡って自分も豊かになるだろうと考えた
  • 10万部売れるよりも1億人に知ってもらう方が価値があると考えた

どうでしょう?

これを読んだだけでも西野亮廣さんが天才と呼ばれる理由が分かりますよね。

ポイントは3つあって

  1. 感情
  2. お金に対する価値観
  3. 明確にターゲットを絞ったマーケティング戦略

で、この3つのポイントが全てうまく(というか完璧に)作用し合ったことで絵本の売り上げが爆発的に伸び、更には“絵本作家西野亮廣”というブランディングに成功したと言えます。

本人も後で語っていますが、これは「完璧に計算されていた戦略」です。

では3つのポイントについて1つずつ解説していきます。

1.人を動かすのは「感情」

まずは「感情」についてです。

実は感情とはマーケティング業界では最も重要視されているもので、「人を動かすのは感情だ。」という風に言われています。

例えば人が商品を買うなどの「行動」を起こす時は必ず「感情」が後押ししているといえます。

「えんとつ町のプペル」のケースだと、西野さんは「お金がない子供たちにも絵本を読んでもらいたい」という自分の感情をきっかけに無料公開という常識破りな行動に出ました。

これは外から刺激された感情ではなく、内から出た感情が行動を促したということになります。

次にその西野さんの内から出た感情が「子供のために無料公開なんてなんて素晴らしいんだ。」と他人の感情を動かし、その結果感情を動かされた人たちが「絵本を買う」という行動に出ました。

感情が感情を動かし人を行動させた

のです。

もっとも、今回の西野さんの例では無料公開をした時点で「お金のない子供のために」と公言していたことから、この「お金のない子供」というキーワードは最初から狙っていたのかもしれません。

「お金のない子供ため」と聞くと誰もが心を動かされますよね。

同情を買いやすいキーワードはマーケティングにピッタリなのです。

とはいえこう言ってしまうとビジネス的過ぎて人間味がないので、西野さんが本当に心の底から子供を思いやったんだと私は信じています。(たぶんそう)

2.お金に対する価値観

えんとつ町のプペル

「お金という人を豊かにするためのツールが人の格差を生み出している。」

という点に疑問を抱いた西野さんは、絵本の対価がお金である必要はあるのか?

という考えに行き着きます。

 

その昔、お金がなかった時代は物々交換で社会は成り立っており、お金が生まれてからも例えば隣人から野菜を貰ったらそれを恩で返すなどという行為は当たり前のように行われてきました。

そもそも「えんとつ町のプペル」が無料公開される発端となったのは、先にも書いたように”お金のない子供たちにも読んでもらいたい”から。

子供たちに作品を読んでもらいたいのに「お金」という壁があるせいでそれができないなら、その昔のように、隣人との付き合いのように、絵本の対価は恩だけで十分だと考えたのです。

そしてその恩にはお金の以上の価値があることを彼は知っていました。

 

恩はお金よりも人を豊かにする。

 

お金がなくても人は豊かになれるはずだ。

 

これをキンコン西野さんは

「お金の奴隷解放宣言」と呼んでいます。

絵本を無料公開することでマーケティングとして成功させながらも、同時に社会のシステム、お金に対する価値観、お金の価値の正当性に対して疑問を投げかけているのです。

おそらく「恩にはお金以上の価値がある」と気づいた時点で今回のマーケティングの成功は見えていたと思いますが、いずれにせよ「お金がなくてもみんなが豊かになれる道がある」ことを示すことができたいい一例になったと思います。

 

ちなみに「お金がなくてもいい世の中」というのは堀江貴文さんと落合陽一さんの共著「10年後の仕事図鑑」にも触れられていますので興味のある方は是非手にとってみて下さい。売れまくっている本です。

 

また西野さんの著書「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」では今は「お金よりも信用の時代だ」とこれまたお金のあり方に疑問を投げかけています。こちらもかなり勉強になるので是非。




3.ターゲットを絞った「マーケティング」

さて、これまで「感情」と「お金に対する価値観」について解説してきましたが、そのどちらにもマーケティング要素がありました。

しかしどちらかというと結果としてマーケティングに繋がる要素があったというだけで、スタート地点が”「よし、マーケティングしよう!」ではありません。

では「マーケティングしよう!」とを狙って出てきたキーワードは何かというと、

 

「ママさんたちに書店で絵本を吟味する暇はない」です。

 

これがなぜ無料公開のマーケティングに繋がるのか?

そのカラクリは実に巧妙です。

 

以下の流れを見てください。

ママさんたちは本屋で絵本を吟味する暇すらない

→結果、昔からある有名な絵本を手に取る

→そもそも本屋にある絵本はタダで読めるよね

→ウェブでタダで読めれば育児の合間に絵本の吟味ができるんじゃない?

→ママさん「お〜これは便利!読んでみよう!」

→ママさん「おもしろかったけど、スマホだと子供に読み聞かせにくいな・・・」

→ママさん「じゃあ買っちゃおう!」

天才ですよね。

問題の提議からその先の展開までを完璧に予測しています。

 

ここで初めて分かることは、マーケティングのターゲットは「ママさん」だったということ。

小学生に「お金がないから買えない」と言われたことがそもそもの発端なのに、マーケティングした対象はママさん。

私は最初「小学生」という単語に気を取られ

「あれ、これってマーケティングの対象っ誰なんだっけ?全人類?(笑)」

なんて考えてしまいましたが、確かに絵本を買う中心層といえばママさんですよね(笑)

批判の声にどう反応したか

えんとつ町のプペル

(ここから先は少し本題から外れますがもう少しお付き合いください)

「えんとつ町のプペル」の無料公開は結果的に大成功を収めましたが、当初は批判だらけで大炎上していました。

(炎上もマーケティングですけどね!)

業界の常識が変わり、絵本作家が食えなくなる!
クリエイターの市場価値が下がる!
お金を払って買った人の気持ちを考えろ!
作品の制作に携わった33人を路頭に迷わせるつもりか!

などなど。

 

さて、このような批判に対し「天才」はどう反応したのでしょうか?

結論から言ってしまうと、反応しませんでした(笑)

無視し続けたのです。

 

実はこの批判を無視するというのも計算された行為で(おそらくですが)

時代の開拓者は常に批判に晒される

ことを知っていたからできた行為なのです。

 

仮に批判に耐えきれず

「すみませんでした、無料公開やめます・・・。」

という展開になっていたとしたら、常識を変えることはできなかったはずです。

 

極論ですが、言い方を変えると

批判をされない限り新しい時代を作ることはできない

ので、今回の批判は必然だったと見ることもできます。

 

ちなみに「地球は回っている」と唱えたガリレオは裁判で処されてしまいましたが、後からそれが正しかったと分かりました。

常識を打ち壊すもの、時代を変える人が常に批判に晒されることは歴史を見れば明らかなのです。

歴史が証明するように、今回の大成功もまた必然だったと言えるのではないでしょうか。




さいごに

今回は3つのキーワードから「えんとつ町のプペル」が無料公開された背景について解説してきましたが、この記事を書きながら改めて西野亮廣さんの凄さを実感しています。

ちなみに私は特にマーケティングが専門という訳ではありませんが、その道の専門家から言わせるともしかしたらもっとすごいカラクリが見えてくるのかもしれませんね。

2018.12.21 追記:

なんと出版して1ヶ月も経たないうちに新著「新世界」を無料公開してしまいました!

すごいぞ、キンコン西野さん!

じゃなくて西野亮寛さん!